AGP ケースレポートJP 特別編

症例内容

AGPを活用した治療変更と療養指導のポイント

症例提供・監修:
永寿総合病院 糖尿病センター センター長補佐
小出 景子先生

患者背景

性別・年齢 男性、35歳
病歴 21歳時に2型糖尿病と診断される。長くHbA1cが10%台と高値で推移していた。職業はプログラマーで椅子に座っている就業時間が長く、帰宅も遅いストレスフルな生活をしている。独身一人暮らし。食事は朝は自宅で自炊、昼は外食、夕も自宅で自炊、間食は時々お菓子を食べている。飲酒はなし。BMIは32.7と肥満。
HbA1c 9.2%
糖尿病治療状況 経口薬(BG薬・SU薬・SGLT2阻害薬・TZL薬)に基礎インスリンを就寝前に1日1回(30単位)注射する治療法を実施中。朝食、夕食あるいは就寝前と血糖値を日に2回自己測定していて、朝食前が160mg/dL前後、夕食前が140mg/dL前後である。
フラッシュグルコースモニタリングを行う目的 現在の血糖管理では空腹時血糖値だけを観察しているため、血糖値の自己測定に加え1日の血糖変動のトレンドが判定できる持続血糖測定を実施し、ライフスタイルの調整に関して継続教育を提供することを提案。
1か月後の経過観察のために来院するように依頼した。

初回評価データ

日内パターン

2016年10月30日-2016年11月19日(21日)

AGPレポートから得られた知見

  1. 低グルコースのリスクはあるか?
    低グルコースのリスクはない。
  2. グルコース値は目標範囲内にあるか?
    いいえ。一日通して目標中央値を上回っている。
  3. グルコース値の日内変動はあるか?
    ある。各食後に高血糖を認めており、特に夕食後が最も高い。
  4. グルコース値の日差変動はあるか?
    ある。特に朝食後および昼食後にかけて血糖変動幅が大きい。

AGPレポートを活用した治療変更と療養指導

血糖管理は、低血糖をまず減少させ、次に、高血糖を改善し、血糖変動を縮小することが原則となる。(下図参照)

本症例については1か月のAGPレポートより、低グルコースのリスクは確認されていない。

グルコース測定値の大部分は1日を通してほぼ持続的な高血糖であり、平坦ではなく高血糖域で変動する測定値を伴い、とくに、夕食後が最も高値を示している。

四分位範囲(IQR:25パーセンタイルと75パーセンタイル曲線間の幅)は、朝食前が35mg/dL、朝食後が90mg/dL、昼食前が100mg/dLとなっている。

とくに、昼食前は中央値から10パーセンタイルまでの幅が顕著に大きくなっている。ここから、1日の中で最も大きな変動幅となるのは朝食後から昼食前までであることがわかった。

低血糖・無し 高血糖・インスリン種類変更。・CDEJの介入 血糖変動・食事量の調整

AGPレポートを活用した治療変更と療養指導のポイントは、患者とレポートを共有して十分に話し合うことである。

今回のAGPレポートから得られた知見をもとに患者さんとAGPデータを共有し、インスリン調整と振り返り作業を行った。

  1. 低血糖に注意する必要性が少ないことから、高血糖域の減少のためにインスリン種類変更や単位調整を検討する。
  2. 必要以上に血糖管理に対して神経質にならないような介入に配慮する必要(心療内科でも治療中)があるため、AGPデータのポイントを説明し、傾聴することを心掛け細かな指示は出さないようにする。
  3. 高血糖と血糖変動から、食事療法について傾聴、気づきを促す。

患者さんはインスリン注射回数を増やすことを拒否したので、就寝前の基礎インスリンの30単位を中止して、夕食が一定時間に摂れないことも考慮し、朝食前に配合溶解インスリン製剤(デグルデグ/アスパルト)を40単位注射することとなった。さらに、日中広範囲に高血糖に暴露していることを考慮して、CDEJのDMS(データマネジメントシステム)指導により血糖プロファイル確認を患者と共有することで自覚を促し、摂取食事量、血糖上昇食品や食事時間の調整を提案した。

2か月後の経過観察

日内パターン

2017年1月28日-2017年2月11日(15日)

AGPレポートから得られた知見

  • 低グルコースのリスクはあるか?
    午前1時~5時頃、午前10時から午後1時、午後6時頃に低血糖パターンまたは低血糖に近いパターンがある。
  • グルコース値は目標範囲内にあるか?
    初回評価時に比べ大幅に改善され、中央値は目標値以下になっている。
  • グルコース値の日内変動はあるか?
    各食後の上昇が認められる。
  • グルコース値の日差変動はあるか?
    昼食後の日差変動はまだ残るが治療介入前より大幅に改善している。

AGPレポートを活用した治療変更と療養指導

装着期間(2週間)の平均グルコース値から計算される推定A1c値は5.3%、過去1~2か月の平均血糖値の指標となるHbA1c実測値は7.4%と改善している。中央値曲線については、現在朝食前に目標範囲内になったものの、時に低血糖パターンを有している。本人に低血糖の自覚症状は殆どないが、引き続き低グルコース値を示す時は、SMBGにより血糖測定を確認することと過剰な対処をしないように提案した。また、低血糖回避のためにインスリン単位減量を提案した。
併せて、変動の大きな場面から継続的に食事療法を実践し、さらに、運動療法も取り入れるように促した。

低血糖・低血糖指導・インスリン単位減量 高血糖・無 血糖変動・食事量の調整・運動療法の取り入れ

本症例ではAGPを活用した療養指導により、患者自身の血糖変動の理解が深まり長年改善しなかった血糖コントロールを大幅に改善することができた。

AGPの臨床活用における糖尿病療養指導士の役割と重要性

永寿総合病院 糖尿病センター センター長
渥美 義仁先生

糖尿病治療において質の高い血糖コントロールを達成し低血糖などのリスクを低減するためには、患者一人ひとりの血糖変動プロファイルを知り、適切な治療介入を行う必要がある。この血糖変動プロファイルを把握するためには曝露量(Exposure:平均血糖)、安定性(Stability:日内変動)、変動性(Variability:日差変動)を総合的に評価することが重要で、併せて常に低血糖のリスクに留意することが必要とされる。AGPの利点はこの4つのポイントを一目で分かり易く確認できるところにある。

AGPの読み方のポイント※1

また、AGPは膨大な情報を包括的に解析し分かり易い形で患者にも提示することができることから、糖尿病療養の指導や教育の優れたツールとなる。糖尿病患者と一緒にデータの評価についてコミュニケーションをはかることで、患者自身の気づきが生まれ生活習慣改善や服薬コンプライアンスの向上などにつながる。このAGPの臨床活用に糖尿病療養指導士が関わることによって、生活習慣の把握や血糖変動の確認などの効率化が図ることができる。

糖尿病で最も重要なことは継続的なケアである。そのためには、患者へのサポートが不可欠であり、その重要な役割を担う医療スタッフとして糖尿病療養指導士の活躍が期待されている。医師のみならず糖尿病療養指導士を中心とした糖尿病に携わる医療スタッフがAGPの活用方法を十分に理解して患者とのコミュニケーションツールに活用することで、患者自身の血糖変動と服薬や生活の関係についての理解が深まり、自身の血糖コントロール達成のために前向きになることが期待できる。AGPが今後の糖尿病マネジメントにおいて糖尿病療養指導に携わる医療スタップの中でも普及することに期待したい。

  • ※1糖尿病管理におけるAmbulatory Glucose Profileの臨床活用のためのアルゴリズム、糖尿病の最新治療 Vol.10 No.2より抜粋

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