AGPケースレポートVol.10

症例内容

治療の最適化によって血糖コントロールとQOLを改善できた2型糖尿病の症例

症例提供・監修:
ソレイユ千種クリニック 院長
木村 那智先生

患者背景

性別・年齢 男性、73歳
診断 2型糖尿病、糖尿病歴11年
HbA1c 9.5%
糖尿病治療状況 約1年でHbA1cが7%前後から9%台へ悪化。食事療法と運動療法の強化を繰り返し指導され、頑張って6か月で体重を約8kg減らし、BMI19.1kg/m2になるも血糖コントロールは改善せず、食事に対し恐怖心すら抱き始めた。一方で、明け方に低血糖をきたすようになり、治療に手詰まりを感じて当院へ紹介。処方薬はグリメピリド(SU薬)0.5mg/日、ビルダグリプチン(DPP-4阻害薬)・メトホルミン(ビグアナイド薬)配合錠(25/500mg)2錠/日、プラバスタチン(高脂血症治療薬)5mg/日。
フラッシュグルコースモニタリングを行なう目的 血糖トレンドを把握して2型糖尿病治療の最適化を図るとともに、現状を可視化することで毎日の生活と治療への自信を取り戻す。

治療介入前

日内パターン

2018年1月18日-2018年2月14日(28日)

レポートから得られた知見

  1. 低グルコースのリスクはありますか?
    明け方にしばしば低グルコースを起こしている。
  2. グルコース値は目標範囲内にありますか?
    明け方を除き、一貫して高値。
  3. グルコース値の日内変動はありますか?
    朝食後から著明に上昇し、昼以降は高値が続く。就寝中に低下し、明け方に低値となることもある。
  4. グルコース値の日差変動はありますか?
    一日を通して大きい。

確認すべき事項と次のステップ

確認すべき事項 次のステップ
低血糖に関する事項
  • 就寝中に頻繁に低血糖をきたしている。
  • SU薬は中止する。
  • 食後高血糖を選択的に改善する薬剤を選択する。
目標範囲に対するコントロール状況に関する事項
  • 会社役員という立場上、仕事の絡む飲食の機会が避けられないが、体重減少をきたすほど食事量は減っている。
  • 食後の血糖コントロールは、現在の食事療法・薬物療法では限界に達している。
  • 血糖トレンドを可視化することにより、薬物療法のステップアップを納得していただく。
  • 食事を恐怖に感じることなく、必要な食事を摂りながら、食後の血糖上昇の程度を把握していただく。
日内変動に関する事項
  • 体重減少をきたすほど食事制限を頑張っているが、食後の血糖上昇は改善していない。
  • ミチグリニド、次いでミチグリニド・ボグリボース配合錠を試すも効果不十分なため、これらに替えて毎食前超速効型インスリン(アスパルト)を開始。
日差変動に関する事項
  • 現役で仕事をしているために生活は変化に富む。
  • 食事量はなるべく控えていても、様々な会食に出席する機会が多い。
  • 食後血糖の上昇を安定させるため、まずは基礎カーボカウントの指導を行い、その後応用カーボカウントへ移行した。

治療内容の変更(レポート解析の結果から)

  • 早朝低血糖を起しているためにSU薬を中止し、食後血糖を重点的に抑えるべく、ミチグリニド、次いでミチグリニド・ボグリボース配合錠を処方したが、いずれも効果不足で改善が乏しかった。そのため、これらに替えて追加インスリン療法を導入した。超速効型インスリンを毎食前4単位から開始し、適宜調節した。
  • やせ型でインスリン抵抗性は認めないため、ビルダグリプチン・メトホルミン配合錠はリナグリプチン(DPP-4阻害薬)に変更した。
  • 食事による血糖上昇と、カロリーや糖質の制限を主体とする食事指導が大きなストレスになっていたため、ある程度自由な食事を許容しつつ、基礎カーボカウントを指導。その後、応用カーボカウントに移行し、糖質摂取10gあたり超速効型インスリン1単位注射するよう指導した。

治療介入後

日内パターン

2018年11月6日-2018年12月3日(28日)

治療介入後の知見

  1. 低グルコースのリスクはありますか?
    就寝中の低グルコースは消失。昼食後や夕食後には、カーボカウントの読み違いや注射タイミングの判断の誤りにより時折低グルコースが見られるが、いずれも許容範囲内であり、かつ本人は原因を自覚している。
  2. グルコース値は目標範囲内にありますか?
    概ね目標範囲内(本人の希望でグルコース目標範囲を100-140mg/dLと設定しているが、実際は80-180mg/dLを目指すよう指導している)。
  3. グルコース値の日内変動はありますか?
    緩やかな変動はあるが、以前よりかなり平坦な血糖変動となった。現在も現役で仕事を続けているために会食が多いが、以前のように不規則な食事にもうまく対応できるようになったことを喜んでいる。
  4. グルコース値の日差変動はありますか?
    変化に富む生活を送っているため多少の日差変動が残っているが、許容範囲と考える。介入前と比較すると劇的に改善している。

今後の治療内容変更(レポート解析の結果から)

  • フラッシュグルコースモニタリングシステムの導入により、本人が治療変更の必要性を理解し、前医で頑なに拒んできたインスリン導入にも納得の上で同意された。追加インスリン療法という、変則的で低血糖のリスクが高めなインスリンレジメンの導入も、スムーズに行えた。
  • 空腹時血中CPRは0.7ng/mLと低下しており、自己注射ができる間はインスリン離脱を焦らず、自己管理が困難になった際には内服治療に戻すことを検討する。
  • 何よりも、安全に現役で仕事を続けられていることを喜んでいらっしゃる。

注意事項
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