AGPケースレポートVol.11

症例内容

フラッシュグルコースモニタリングによって患者の意識が変わり劇的に血糖コントロール改善をみた1型糖尿病患者の一例

症例提供・監修:
浜松医科大学病院 内分泌・代謝内科
釣谷 大輔先生

患者背景

性別・年齢 女性、50歳
診断 1型糖尿病、糖尿病歴21年 増殖型網膜症、腎症3期
HbA1c 12.1%
糖尿病治療状況 インスリンアスパルト(4-4-4)とデグルデク(9-0-0-4)によるインスリン治療を実施。精神疾患(うつ病)などの背景が要因で治療中断・放棄を繰り返し、1年のうち数回の入院に至っていた。
HbA1cは10%以上を持続していた。
フラッシュグルコースモニタリングを行なう目的 インスリン治療を実施する必要性の理解が不十分、モチベーション維持のため、「血糖トレンド(血糖変動)の見える化」を行う。

治療介入前

日内パターン

2018年4月5日-2018年5月2日(28日)

レポートから得られた知見

  1. 低グルコースのリスクはありますか?
    ほとんどなし。
  2. グルコース値は目標範囲内にありますか?
    全くない。概ね高値で350mg/dLの上限を超えていることがほとんど。
  3. グルコース値の日内変動はありますか?
    高値持続のため評価できず。
  4. グルコース値の日差変動はありますか?
    多少の変動のみ。

確認すべき事項と次のステップ

確認すべき事項 次のステップ
低血糖に関する事項
  • 現時点ではなし
  • 現時点ではなし
目標範囲に対するコントロール状況に関する事項
  • インスリンは指導どおりにきちんと打てていたか
  • 測定値が高値の際に補正インスリンを打てるか
  • 自身のグルコース値レベルを把握する
日内変動に関する事項
  • インスリン増量の検討
  • 測定値が高値の際に補正インスリンを打てるか
  • 自身のグルコース値の変動を把握する
日差変動に関する事項
  • 指示したとおりにインスリン注射を実施しているか
  • 頻回にグルコース値の確認を行う

治療内容の変更(AGPレポート解析の結果から)

  • フラッシュグルコースモニタリング開始当初に感想を聞くと「つまらない」とのコメント。測定値が高すぎてグラフ内に現れず、ほとんどがグラフ上部に張り付いた状況であった。「血糖トレンドが見えない」ことでフラッシュグルコースモニタリングをつけても意義を感じられず上記の発言につながった。これに対し、測定値が「見える」ようにしていくことを提案。350mg/dL以上が2時間続いた場合にアスパルトを1~2単位追加打ちし補正することとした。

治療介入2か月経過後

日内パターン

2018年6月28日-2018年7月25日(28日)

この時点での治療状況
インスリンアスパルト(4-4-4)とデグルデク(9-0-0-4)。加えて、350mg/dL以上が2時間続いた場合にアスパルト1~2単位の追加打ちを行う。

治療介入2か月経過後の知見

  1. 低グルコースのリスクはありますか?
    頻度は低いが深夜~早朝にかけて見られることもある。
  2. グルコース値は目標範囲内にありますか?
    十分ではないが、2か月前よりは低下し、1日に2~3割程度の時間帯で目標範囲内に収まるようになった。
  3. グルコース値の日内変動はありますか?
    全体的にバラつきはやや大きく、特に昼食後に認められる。
  4. グルコース値の日差変動はありますか?
    1型糖尿病であり、食事、インスリン量、運動量のバランスなどにより認められる。(自身にて対処可能)

治療内容変更後の状況-1(AGPレポート解析の結果など)

  • 基本的なインスリン使用量は不変だが、高値の際に追加インスリンが打てるようになった。
  • 本人からは「測定値がグラフで見えるようになってきた。何をやっているかがわかってきた」と理解が進んでいる。
  • 「血糖トレンドの見える化」および、目標を明確に設定することでモチベーションが生まれた様子。

治療介入5か月経過後

日内パターン

2018年10月4日-2018年10月31日(28日)

この時点での治療状況
インスリンアスパルト(4-4-4)とデグルデク(8-0-0-4)食事量、運動量によっては適宜アスパルトの調整を行う。

治療介入5か月経過後の知見

  1. 低グルコースのリスクはありますか?
    血糖コントロールが劇的に改善したことにより時々は見られるようになったが、適切に対応できている。
  2. グルコース値は目標範囲内にありますか?
    時々上下動あるものの、概ね範囲内にある。
  3. グルコース値の日内変動はありますか?
    1型糖尿病であり、食事、インスリン量、運動量のバランスなどにより認められる。(自身にて対処可能)
  4. グルコース値の日差変動はありますか?
    1型糖尿病であり、食事、インスリン量、運動量のバランスなどにより認められる。(自身にて対処可能)

治療内容変更後の状況-2(AGPレポート解析の結果など)

  • 糖毒性解除により基本的なインスリン使用量はやや減量できた。低血糖になることもあるが、対処可能である。最近では「スキャンした時の値が200mg/dLを超えるとヤバい!と思うようになった」との発言も出てきており、自身の血糖値に対する意識も高まっている。時々グルコース値の上下動はあるものの、投げ出さず適切に対応できるようになっている。入院が必要になることは全くなくなった。この患者は罹病期間が長く、網膜症は増殖停止状態なので血糖値コントロールが劇的に改善したことによる出血のリスクはなかった。

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