AGPケースレポートVol.15

症例内容

予想以上の食後高血糖が判明し、その対応で血糖管理が改善した一例

症例提供・監修:
日本赤十字社 伊勢赤十字病院 糖尿病・代謝内科
金児 竜太郎先生(左)/部長 村田 和也先生(右)

患者背景

性別・年齢 男性、70歳
診断 2型糖尿病、糖尿病歴17年
HbA1c 7.9%
既往歴 右突発性難聴、胆のう摘出術、尿管結石
糖尿病合併症 網膜症なし、腎症3期、神経障害軽度
併存症 高血圧、高LDLコレステロール血症で加療中。閉塞性睡眠時無呼吸症候群でCPAP療法中。うつ病、てんかんで精神科通院中(安定している)。
糖尿病治療状況 メトホルミン1,000mg/日(朝夕食後)、ビルダグリプチン100mg/日(朝夕食後)、グリメピリド0.5mg/日(昼食前)、インスリンデグルデク・アスパルト配合注を昼食直前に18単位、インスリンアスパルトを夕食直前に4単位で治療。血糖自己測定は朝食前と夕食前の習慣があった。朝食後の血糖測定を薦めているが、実行に至らない。長年通院していてHbA1c7.0%を目標としているが達成したことがない。低血糖の既往はない。腎機能は保たれている。BMI 27kg/m2前後で長年推移。運動習慣はない。朝が早いので昼寝されることが多い。
フラッシュグルコースモニタリングを行う目的 食後の血糖変化の状況、および、夜間に低血糖をきたしていないかを確認するため。

治療介入前データ

日内パターン

2019年1月11日-2019年2月8日(29日)

レポートから得られた知見

  1. 低グルコースのリスクはありますか?
    夜間から早朝にかけて低グルコースになることがある。
  2. グルコース値は目標範囲内にありますか?
    夜間から早朝にかけて25~75パーセンタイル領域は目標範囲内にあるが、日中は高グルコース傾向である。
  3. グルコース値の日内変動はありますか?
    予想以上に朝食後の高血糖があることが判明した。
  4. グルコース値の日差変動はありますか?
    24時間を通して大きく、特に朝食後・夕食後の日差変動が大きい。

確認すべき事項と次のステップ

確認すべき事項 次のステップ
低血糖リスクに関する事項
  • 症候性低血糖の頻度、好発時間帯
  • 基礎インスリンの減量を検討する
目標範囲に対するコントロール状況に関する事項
  • 食後血糖、特に朝食後血糖
  • 食事内容の確認と指導
  • 朝食前に超速効型インスリンを追加するか検討する
日内変動に関する事項
  • 食後血糖、特に朝夕食後血糖
  • インスリン注射のアドヒアランス
  • 食事内容の確認と指導
日差変動に関する事項
  • 仕事の日、休日で変動があるか確認
  • 仕事日と休日で食事の時間、内容にどのような違いがあるか確認

治療内容の変更(AGPレポート解析の結果から)

  • 夕食後に中央値より高値域のばらつきがあることから夕食の内容、とくに炭水化物量について聞き取りを行ったところ、麺類の日に食後高グルコースになっていることが分かった。
  • 朝食後に中央値より低値域のばらつきがあり朝食の内容、とくに炭水化物量について聞き取りを行った。
    その結果、ほぼ食パンとバナナなど糖質に偏りがあるため、糖質の分量を減らし、サラダや乳製品などの追加を提案した。
  • インスリンアスパルトを食後に注射する日があるとのことで、適切なタイミングを守るように指導した。
  • 夜間の低グルコースに続く翌朝高グルコースが散見され、ソモジー効果の疑いがあるので、患者の知識不足を補うための情報提供を行った。
  • 最終的には、経口血糖降下薬、インスリンについては変更せず、食事指導のみにて経過をみることとなった。

治療介入1か月経過後

日内パターン

2019年2月8日-2019年3月8日(29日)

治療介入1か月経過後の知見

  • 低グルコースのリスクはありますか?
    夜間から早朝にかけての低グルコースが増加した。また、夕食前にかけて低グルコースになることがある。
  • グルコース値は目標範囲内にありますか?
    朝食後以外は概ね目標範囲内に入るようになり、全体で「目標範囲内の割合(TIR:Time in Range)」も初回評価時の
    52%から67%と大きく改善した。
  • グルコース値の日内変動はありますか?
    朝食後のグルコースの中央値は40mg/dLほど低下した。朝食後以外の日内変動は小さくなった。
  • グルコース値の日差変動はありますか?
    朝食後から昼前までの日差変動は大きいが、夕食後の日差変動は改善が見られた。

治療内容変更後の状況-1(AGPレポート解析の結果など)

  • 朝食後血糖のピーク値や日差変動の改善傾向が見られた。
  • 朝食後の8:00、11:00のピークについては、朝食内容の試行錯誤(たんぱく質、脂質の割合など)によるものと考えられる。
  • 夕食後血糖の中央値、および日差変動(10~90パーセンタイル幅)も大きく改善しており食習慣改善の努力が見られる。
  • HbA1cは採血のHPLC法で、念願の7.0%未満となり、非常に喜んでおられた。しかし、夜間から明け方にかけての低グルコースが増加した。(「目標より低い割合(TBR:Time below Range)」が6%から12%に増加)
  • 症候性低血糖はきたしていないようであるが、高血糖だけでなく低血糖や大きな血糖変動もよくないことを説明し、必要に応じて基礎インスリン減量も検討することを説明した。
  • 引き続き、経口血糖降下薬、インスリンについては変更しなかった。

治療介入6か月経過後

日内パターン

2019年4月13日-2019年7月12日(91日)

治療介入約6か月経過後の知見

  • 低グルコースのリスクはありますか?
    「目標より低い割合(TBR: Time below Range)」は1%とリスクはほとんど無い。
  • グルコース値は目標範囲内にありますか?
    朝食後に目標範囲より高くなることはあるが、「目標範囲内の割合(TIR:Time in Range)」は74%にまで上がっている。
  • グルコース値の日内変動はありますか?
    1日を通してかなり平坦になった。
  • グルコース値の日差変動はありますか?
    朝~昼頃にかけて多少残存があるが、初回評価時に比べ大きく改善した。

治療内容変更後の状況-2(AGPレポート解析の結果など)

  • 朝食内容の工夫により、糖質を減らしすぎることなく、朝食後血糖が改善した。
  • 夕食の炭水化物摂取がかなり少なめとなっていたことが判明し、適正量にするよう指導した。
  • 日常生活におけるフラッシュグルコースモニタリングの活用とAGPレポートを用いたフィードバック・療養指導により、食後血糖値の状況がわかり易く可視化されたことから食事内容への興味が非常に高まった。
  • 本人の食生活の工夫により血糖コントロールが大きく改善された症例である。

注意事項
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