AGPケースレポートVol.16

症例内容

シフト勤務のある1型糖尿病の一例

症例提供・監修:
筑波大学医学医療系 内分泌代謝・糖尿病内科 准教授
鈴木 浩明先生

患者背景

性別・年齢 女性、45歳
診断 1型糖尿病、糖尿病歴15年
既往・合併症 網膜症なし、腎症2期、無自覚低血糖あり、類もやもや病で脳梗塞を発症も麻痺を残さず回復。BMIは 26.3kg/m2
HbA1c 8.1%
糖尿病治療状況 インスリン・リスプロ6-6-7単位(各食)、インスリン・デグルデク23時に13単位、経口血糖降下薬なし
フラッシュグルコースモニタリングを行なう目的 仕事が介護士で、日によって仕事の強度に差があり、食事時間も不規則。早番や遅番、夜勤もある。夜勤は1人でこなさなければならないこともあり、低血糖に対して不安が強いことから血糖を高めにしている。
一方で、脳梗塞を発症したことで高血糖に不安がある。日々の状況を確認でき、また良好な血糖コントロールを達成するためにフラッシュグルコースモニタリングの使用を開始した。

治療介入前データ

日内パターン

2018年2月8日-2018年3月8日(29日)

レポートから得られた知見

  1. 低グルコースのリスクはありますか?
    低グルコースイベントは8%で1型糖尿病としては多くないが、0時~6時の間と仕事中の12時前後に低グルコースイベントを起こすことがある。
  2. グルコース値は目標範囲内にありますか?
    1日を通して全体的に目標範囲を上回っている。
  3. グルコース値の日内変動はありますか?
    グルコース値の中央値は、2時に最も低く、その後7時頃まで緩やかに上昇しており、暁現象の存在が疑われる。
    そこからの中央値の日内変動はそれほど大きくない。
  4. グルコース値の日差変動はありますか?
    シフト勤務の影響もありグルコース値の日差変動は、全ての時間を通して大きい。

確認すべき事項と次のステップ

確認すべき事項 次のステップ
低血糖リスクに関する事項
  • 低グルコース時の状況把握
  • 食事内容の検討
  • 麺類を摂取した時に低血糖をきたしていることが多いので、その際にはインスリンの減量が必要である
目標範囲に対するコントロール状況に関する事項
  • インスリン投与量の再検討
  • 食事内容の把握
  • 補正インスリンの導入
  • 肥満があるので、食事内容についても指導が必要
日内変動に関する事項
  • 勤務状態の確認
  • 暁現象が見られるため、持効溶解型インスリンを増量する
  • 夜勤時の深夜のグルコース値は比較的安定していることと低血糖の不安が強いため、夜勤時の持効溶解型インスリンは、現状で良い
日差変動に関する事項
  • 勤務状態の確認
  • 食事内容の把握
  • 低血糖の対処法
  • 夜勤の時には低血糖を起こさないように多めに食べているが、肥満があるので、食事を増やすよりも活動量に応じてインスリンを減らす
  • 低血糖時はスポーツドリンク(糖質12g)で対応しているが、夜勤では、さらにクッキーを2~3枚食べるので、低血糖後の血糖上昇が大きく、低血糖時に補食を摂りすぎない

治療内容の変更(AGPレポート解析の結果から)

  • AGP図で全体の血糖プロファイルを確認したのち、各日の血糖変動を週別サマリーレポートと勤務・生活状態の聞き取りにより確認し、今後の治療内容の変更を検討することとした。(次ページ図参照)
  • 上記の検討を踏まえ夜勤時以外の持効型溶解インスリンの増量、高血糖時の補正インスリンの導入、カーボカウントの導入、低血糖時の補食についての指導(クッキーをやめるなど)を実施した。

聞き取りとレポートの活用

週別サマリー

2018年2月8日-2018年3月8日(29日)

夜勤日の方が暁現象が少ない傾向

週別サマリー

2018年2月8日-2018年3月8日(29日)

低血糖の過剰な補正 暁現象

治療介入3か月経過後

日内パターン

2018年5月10日-2018年6月7日(29日)

治療介入3か月後の知見

  • 低グルコースのリスクはありますか?
    目標範囲より低い割合は9%で著変ない。時間帯では0~6時の低グルコースイベントは減少したが、22~0時に増加した。
  • グルコース値は目標範囲内にありますか?
    目標範囲内は28%で大きな変化はないものの、全体のグルコースレベルは低下している。
  • グルコース値の日内変動はありますか?
    日内変動は減少した。暁現象はまだ残存しているように見えるが、週別サマリーを確認すると軽減したことが確認できた。
    低血糖時に過剰に補食する癖がまだ抜けておらず、夜間低血糖の増加によって週別サマリーではSomogyi効果のように、AGP図は暁現象のように見える。
  • グルコース値の日差変動はありますか?
    まだ、日差変動は大きいが変動幅は縮小した。

治療内容変更後の状況(AGPレポート解析の結果など)

  • 1型糖尿病では、血糖の日差変動が大きく日々の変動パターンが一定でないことも多い。AGPレポートは各時間帯のグルコース値の分布を見ているため、日差変動の多い患者では、AGPレポートだけで治療方針を決定できない。ただ、24時間の血糖変動はいくつかの患者固有のパターンに分類できることが多く、各々のパターンについて原因を探り、それに対して対策を立てていくと良い。(変動の原因が分からないことも多く、こだわりすぎないことも重要)
  • 患者の記憶は曖昧なので、なるべく行動記録や食事の記録・写真、FreeStyleリブレのイベントマーカーをつけてもらうことが大切である。ただ、すぐに記録を付けてくれるようにならないことも多く、繰り返し記録の必要性について説明する。数日だけの記録でも参考になるし、患者も記録することの重要性に気付くことで、記録へのアドヒアランスが大きく向上することも多い。

注意事項
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