AGPケースレポートVol.17

症例内容

持効型溶解インスリンの投与タイミングを評価・指導して改善が見られた2型糖尿病の1症例

症例提供・監修:
大阪市立総合医療センター 糖尿病内科 部長
細井 雅之先生

患者背景

性別・年齢 男性、68歳
診断 2型糖尿病、糖尿病歴33年、BMI=26kg/m2
既往 59歳の時に無痛性心筋虚血でPCI施行
合併症 甲状腺機能低下症、高尿酸血症、増殖網膜症
HbA1c 9.1%
糖尿病治療状況 ミグリトール150mg分3毎食前、トホグリフロジン20mg朝食後、インスリンアスパルト(10,7,12単位)、インスリンデグルデク(眠前に16単位)
フラッシュグルコースモニタリングを行う目的 高血糖がいつ起こっているかを確認するため。

初回評価データ

日内パターン

2018年5月25日-2018年6月21日(28日)

レポートから得られた知見

  1. 低グルコースのリスクはありますか?
    装着期間の低グルコースイベントは1回。目標範囲下限(80mg/dL)以下の割合は1%とリスクは少ない。
  2. グルコース値は目標範囲内にありますか?
    平均グルコース値は201mg/dL、目標範囲(80~180mg/dLで設定)内にあるグルコース値は43%、目標範囲より高い割合は56%と目標範囲を上回っている。
  3. グルコース値の日内変動はありますか?
    グルコース値の中央値曲線は夕食後に上昇し、午前0時頃250mg/dL前後と高くなり、明け方にかけて150mg/dL以下と最も低くなる。
  4. グルコース値の日差変動はありますか?
    日差変動は全ての時間を通じて大きいが、特に15~16時にかけて10~90パーセンタイルの幅が広い。間食をとる習慣によると思われる。

確認すべき事項と次のステップ

確認すべき事項 次のステップ
低血糖リスクに関する事項
  • 指示された時間にインスリンを打っているか
  • 注射手技、インスリン量を外来看護師が確認
目標範囲に対するコントロール状況に関する事項
  • 間食はしているか、どの程度しているか、どの時間帯にしているか
  • 食事をとる時間はかわりないか
  • ミグリトールは指示された時間に服用しているか
  • トホグリフロジンの服用を忘れていないか
  • 管理栄養士が聞き取り、夕食後の和菓子を食べる習慣があることが判明した
  • 内服状況、残薬について薬剤師が確認
日内変動に関する事項
  • インスリンアスパルトは指示された量を打っているか、打つ時間はいつか
  • 看護師が注射手技を確認するも打ちそこないや打ち忘れは無かった
  • 昼食が14時くらいになると低血糖気味になるので栄養ドリンクをのんでいた
日差変動に関する事項
  • インスリンが正しく打てているか
  • インスリンボール有無の確認
  • 運動量に変化があるか
  • インスリンデグルデクの打つ時間が0~1時になったり、朝食後になったりしていた
  • インスリンボールと思われる皮下硬結があり、その部分を避けて打つように指示した
  • 夕食後には運動しない

療養指導の実践(AGPレポート解析の結果から)

  • インスリンデグルデクを打つ時間を眠前のできるだけ同じ時間帯(21~23時)にするように指導した。
  • 夕食後の糖質にあわせて、インスリンアスパルトを調節するようにカーボカウントを再指導した。
  • インスリンボールと思われる皮下硬結があり、避けて打つように指示した。
  • フラッシュグルコースモニタリングを継続使用し、生活の中でどのようにグルコース値が変動するかを確認するように提案した。

初回評価時に目標範囲を80~180mg/dLに設定し、目標範囲内の割合の変化も注目しながら経過観察を行った。

翌月来院時データ

日内パターン

2018年7月6日-2018年8月2日(28日)

療養指導後の評価

  • 低グルコースのリスクはありますか?
    午前中に低血糖になる日が見られることから注意を要するが、本人の自覚症状は全くない。
  • グルコース値は目標範囲内にありますか?
    平均グルコース値は161mg/dL、目標範囲(80~180mg/dLで設定)内にあるグルコース値は51%、
    目標範囲より高い割合は35%と前回より大きく改善された。
  • グルコース値の日内変動はありますか?
    夜間~夜中の高血糖はまだ見られている。午前中の時間帯は平たんになった。
  • グルコース値の日差変動はありますか?
    午後の時間帯での10~90パーセンタイルの幅は広い。一方夜中から明け方にかけての25~75パーセンタイルの幅は
    改善が見られている。

AGPの再評価と考察(AGPレポート解析の結果より)

  • インスリンデグルデクの打つ時間帯を出来るだけ21~23時にするようにしたところ、午前中のグルコース値と日差変動(25~75パーセンタイルの幅)の改善が見られた。
  • 午後の時間帯での10~90パーセンタイルの幅はまだ大きい。間食をとる習慣に変化がなく、夕のインスリンアスパルトの調節ができていないと思われる。おやつの習慣を含めたカーボカウント指導の必要性が明確になった。
  • AGP評価により日差変動がよりわかりやすくなり、日々の療養指導のフィードバックが行いやすくなった。
  • 本人も何が問題点であったかを理解でき、療養指導の見直しに有用であった。

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